再エネ賦課金はいつから?制度開始と単価推移をわかりやすく解説
毎月の検針票に並ぶ「再エネ発電賦課金」。この費目がいつから電気代に加わったのか、単価がいつ切り替わるのかを正確に説明できる人は多くありません。この記事では、制度が始まった時期から2026年度までの単価推移、そして今後いつまで続くのかの見通しまで、経済産業省の公表資料をもとに整理します。
公的機関の公表資料と各社の料金表にあたって記事を書いています。この記事の単価と時期は経済産業省のニュースリリースで2026年9月21日に確認したものです。出典を示せない金額は掲載していません。
再エネ賦課金はいつから始まったのか
再エネ賦課金は、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)を定めた再エネ特措法が施行された2012年7月にあわせて始まりました。制度が始まった2012年度の単価は1kWhあたり0.22円で、そこから毎年度見直されています。「いつから」という問いに一言で答えるなら、2012年度からです。以降14年にわたって、電気を使うすべての世帯と事業者が対象になっています。
FIT制度と再エネ特措法の施行日
正式名称は「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」です。太陽光や風力などで発電した電気を、国が定めた価格で一定期間買い取ることを電力会社に義務づける制度で、2012年7月1日に施行されました。買取にかかる費用を電気の利用者全員で分担する仕組みが再エネ賦課金で、法律の施行と同じタイミングで制度が始まっています。
2012年度の単価は0.22円だった
制度が始まった2012年度の賦課金単価は、1kWhあたり0.22円でした。当時はまだ再生可能エネルギーの導入量も買取費用も少なく、2026年度の4.18円と比べると19分の1程度の水準です。ここから毎年度、経済産業大臣が単価を見直す運用が続いています。単価がどう変わってきたかは、このあと年表で詳しく見ていきます。
- 制度名は再生可能エネルギー発電促進賦課金
- 根拠法は再エネ特措法(2012年7月1日施行)
- 2012年度の単価は0.22円/kWh
- 単価は年度ごとに経済産業大臣が決定する
- 2026年度は制度開始(2012年度)から15年目にあたる
「いつの間にか引かれていた」という感想をよく見かけますが、制度自体は2012年からずっと続いているものです。
単価はどのタイミングで切り替わるのか
単価は経済産業大臣が年度開始前に決定し、例年3月に公表されます。適用は5月検針分から始まり、翌年4月検針分まで続きます。年度と検針月が1ヶ月ずれるため、4月の請求書にはまだ前年度の単価が使われています。このずれを知らないと、明細の金額が変わるタイミングを誤解しやすくなります。毎年5月の検針票を見て初めて、その年度の新しい単価に気づく人が多いのが実情です。
経済産業大臣が毎年3月に決定
単価は再エネ特措法にもとづき、年度が始まる前に経済産業大臣が決定します。2026年度の単価は2026年3月19日に経済産業省のニュースリリースで公表されました。決定にあたっては、その年度に見込まれる再生可能エネルギーの買取費用や、電力の卸市場価格の水準などが踏まえられています。公表時期は例年3月下旬が目安です。
4月分と5月分で単価が違う理由
新しい単価は5月検針分から適用されるため、4月に届く検針票はまだ前の年度の単価のままです。電力会社が検針を行うタイミングと、制度上の年度切り替えのタイミングがずれているためで、意図的に据え置いているわけではありません。5月分以降の明細を見て、初めて新年度の単価に切り替わったことが分かります。
- 単価の決定主体は経済産業大臣
- 公表時期は例年3月下旬
- 適用開始は5月検針分から
- 適用終了は翌年4月検針分まで
- 公表方法は経済産業省のニュースリリース
4月分と5月分の検針票を比べるときは、使用量の変化だけでなく単価の切り替えも金額に影響することを踏まえて読んでください。
2012年度から2026年度までの単価推移
再エネ賦課金の単価は、2012年度の0.22円から2026年度の4.18円まで、14年でおよそ19倍になりました。ただし一貫して上がり続けてきたわけではなく、2023年度には制度開始以来はじめて前の年度より下がっています。主要な年度の単価を並べると、上がり方にも波があることが分かります。「いつから今の金額になったのか」を知るには、この波を押さえておく必要があります。
一貫して上昇してきたわけではない
制度開始からの推移を年度ごとに見ると、初期は緩やかな上昇、2018年度から2022年度にかけては上昇幅が大きくなり、2023年度に急落、その後また上昇という波があります。下の表は各社の単価表や経済産業省の公表資料で確認できる主要年度の抜粋です。全年度の数値は資源エネルギー庁や電力会社の単価表で確認できます。
| 年度 | 単価(円/kWh) | 前年度比 |
|---|---|---|
| 2012年度 | 0.22円 | 制度開始 |
| 2013年度 | 0.35円 | 上昇 |
| 2015年度 | 1.58円 | 上昇 |
| 2018年度 | 2.90円 | 上昇 |
| 2020年度 | 2.98円 | 微増 |
| 2022年度 | 3.45円 | 上昇 |
| 2023年度 | 1.40円 | 制度開始以来初の下落 |
| 2024年度 | 3.49円 | 上昇 |
| 2025年度 | 3.98円 | 上昇 |
| 2026年度 | 4.18円 | 上昇(初の4円台) |
2023年度に初めて下落した理由
2023年度の単価が1.40円まで下がったのは、算定に使う「回避可能費用」が急増したためです。回避可能費用とは、電力会社が再エネの電気を買い取らなかった場合に本来かかるはずだった発電コストの見積もりで、卸電力市場の価格が上がるほど大きくなります。自然エネルギー財団の分析によれば、回避可能費用は2022年度の1兆4609億円から2023年度は3兆6353億円へと約2.5倍に膨らみました。
買取費用の総額から回避可能費用を差し引いた残りが賦課金の原資になる仕組みのため、回避可能費用が増えるほど賦課金の単価は下がります。2022年度から2023年度にかけて世界的にエネルギー価格が高騰し、卸電力市場の価格も上昇したことが、結果的に賦課金を押し下げる方向に働きました。賦課金が下がった年は、電気代そのものが安かった年ではありません。
- 再生可能エネルギーの導入量(増えるほど買取費用が増える)
- 卸電力市場の価格(回避可能費用を通じて単価を押し下げる方向に働く)
- 新規案件の買取価格の見直し(年々引き下げられている)
- 為替や燃料価格などエネルギー市場全体の動き
- 年度ごとに想定される電力の総使用量
「2023年度は下がったのに、なぜまた上がったのか」という疑問はよく見かけますが、下がった原因が一時的な市場価格の高騰だったことを知ると納得しやすくなります。
2026年度の単価と使用量別の負担額
2026年度の単価は1kWhあたり4.18円で、2026年5月検針分から2027年4月検針分まで適用されます。前年度の3.98円から0.20円の値上がりで、制度開始以来はじめて4円台に達しました。使用量が多い世帯ほど負担額も大きくなるため、自分の使用量に単価を掛ければおおよその金額が分かります。年度が変わるたびに、まずこの単価を確認する習慣をつけておくと安心です。
1kWhあたり4.18円の内訳
経済産業省は2026年3月19日、2026年度の賦課金単価を1kWhあたり4.18円にすると公表しました。2012年度の0.22円と比べると19倍、前年度の3.98円と比べても0.20円の値上がりです。単価の決定根拠は、その年度に見込まれる再エネの買取費用と、卸電力市場価格などをもとに算定した回避可能費用の差で、年表で見た2023年度の下落と同じ計算の仕組みが使われています。
使用量別の年間負担額早見表
下の表は、2026年度の単価4.18円を月間使用量に掛けて、当サイトが年額まで計算したものです。400kWhの行は経済産業省が示したモデル世帯の値と一致します。実際の請求では会社ごとの端数処理により数円単位でずれることがあります。
| 月間使用量 | 月額 | 年額 |
|---|---|---|
| 200kWh | 836円 | 10,032円 |
| 300kWh | 1,254円 | 15,048円 |
| 400kWh | 1,672円 | 20,064円 |
| 500kWh | 2,090円 | 25,080円 |
| 600kWh | 2,508円 | 30,096円 |
自分の1年分の負担額を把握しておくと、来年度また単価が変わったときの増減も実感しやすくなります。
再エネ賦課金はいつまで続くのか
制度としての終了時期は、経済産業省の資料で明確には示されていません。ただしFIT制度の買取期間は太陽光の場合、事業用が20年、住宅用が10年と決まっており、初期に認定を受けた案件から順に満了していきます。買取費用が減れば賦課金の総額も減る方向に働くため、少なくとも2040年代前半までは何らかの形で制度が続くとみられます。
FIT買取期間の満了時期から見る見通し
2012年度に認定された事業用太陽光の買取期間(20年)は、2032年度ごろに満了を迎えます。認定件数が多かった2012年度から2014年度ごろの案件が順次満了していくため、2030年代を通じて買取費用の総額は徐々に減っていくと見込まれます。住宅用(10年)はすでに満了が進んでおり、最も件数の多かった時期の案件も2020年代のうちに満了を終えます。
総額のピークは2030年度前後と試算される
賦課金の原資となる買取費用の総額は、2030年度前後にピークを迎え、その後は減少に転じるとの試算が示されています。初期に認定された高い買取価格(1kWhあたり40円台など)の案件がこの時期まで多く残っているためです。ただし新規の認定件数や卸電力市場の動向によって試算は変わるため、当サイトでは確定した終了年として断定はしません。
- 事業用太陽光の買取期間は20年
- 住宅用太陽光の買取期間は10年
- 認定件数のピークは2012年度から2014年度ごろ
- 買取費用総額のピークは2030年度前後と試算される
- 制度の正式な終了時期は現時点で確定していない
「いつまで」の試算は年度ごとの公表資料で見直されます。ここでの見通しは断定ではなく、公表されている制度設計にもとづく目安として読んでください。
電力会社を変えても再エネ賦課金は変わらない
電気代を下げたくて新電力への切り替えを検討する人は多いですが、再エネ賦課金の単価は全国一律で、契約先を変えても変わりません。国が決めた単価がそのままどの会社の請求にも反映されるためで、切り替えで差がつくのは基本料金と電力量料金の部分です。「新電力にすれば賦課金が安くなる」という説明は誤りです。乗り換えを検討するときは、この点を切り分けて比較してください。
新電力に乗り換えても単価は同じ
基本料金と電力量料金は各社が自由に設定できるため、乗り換えによる比較対象になります。一方で再エネ賦課金は国が全国一律で決めており、大手電力でも新電力でも同じ単価が適用されます。乗り換えのシミュレーションで示される削減額は、この賦課金以外の部分から生まれているものです。詳しい計算方法は再エネ賦課金とはの記事にまとめています。
減免を受けられるのは一部の大口事業者だけ
家庭向けの減免制度はありません。減免があるのは、鉄鋼や化学、紙パルプなど電力を大量に使う特定の事業者向けの賦課金減免制度で、要件を満たして資源エネルギー庁の承認を受けた場合に最大8割程度の減免が認められます。一般家庭の契約者がこの制度を使うことはできず、負担を減らす方法は使用量そのものを減らすことに限られます。
| 費目 | 決定主体 | 見直しの頻度 |
|---|---|---|
| 基本料金 | 電力会社 | 会社の判断で随時 |
| 電力量料金 | 電力会社 | 会社の判断で随時 |
| 燃料費調整額 | 電力会社(算定方法は国のガイドラインに準拠) | 毎月 |
| 再エネ賦課金 | 国(経済産業大臣) | 年1回(5月検針分から) |
- 基本料金と電力量料金は乗り換えで比較できる
- 燃料費調整額は算定方法に会社差が出ることがある
- 再エネ賦課金は全国一律で乗り換えても変わらない
- 減免は一部の大口事業者向けで家庭には無い
- 負担を減らせるのは使用量を減らしたときだけ
「乗り換えたのに思ったほど安くならなかった」という声の多くは、賦課金の分まで下がることを期待してしまったケースです。
よくある質問
再エネ賦課金の「いつから」「いつまで」に関連して、検索でよく調べられている疑問をまとめます。以下は2026年9月21日時点で確認した内容にもとづく回答です。制度は改正されることがあるため、最新の単価と適用期間は経済産業省の公表資料で確認してください。個別の請求内容については、契約している電力会社の問い合わせ窓口にご相談ください。
再エネ賦課金だけを払わずに済む方法はありますか
家庭向けにはありません。電気の供給を受けている以上、使用量に応じて必ず負担する仕組みになっています。太陽光発電を自宅に設置して電力会社から購入する電力量を減らせば、結果として賦課金の負担額も減りますが、免除される制度ではありません。設置費用との兼ね合いは別に検討する必要があります。
太陽光発電を設置すると賦課金は免除されますか
免除にはなりません。自宅で発電した電気を自家消費した分は、その分だけ電力会社から購入する電力量が減るため、結果的に賦課金の負担額も下がります。ただしこれは免除制度ではなく、購入量が減ることによる間接的な効果です。売電した電気の買取価格には、この賦課金の原資が使われています。
検針票のどこを見れば単価と時期が分かりますか
「再エネ発電賦課金」または「再生可能エネルギー発電促進賦課金」という名称で、基本料金や燃料費調整額と並んで記載されています。多くの検針票には単価とその月の使用量、算出された金額が併記されています。前年同月の検針票と見比べると、5月検針分から単価が切り替わっていることを確認できます。ほかの費目の仕組みは電気料金の仕組みのカテゴリでもまとめています。
乗り換えのタイミングと単価の切り替えは関係ありますか
関係ありません。新電力への切り替えは自分の都合で好きな時期に申し込めますが、再エネ賦課金の単価はどのタイミングで契約を変えても、その時点で全国一律に適用されている単価がそのまま反映されます。乗り換えで得られるメリットは基本料金や電力量料金の差であり、賦課金の面での有利・不利は発生しません。
まとめ
再エネ賦課金は、FIT制度を定めた再エネ特措法が施行された2012年7月から始まった制度です。2012年度の単価は0.22円/kWhでしたが、2026年度は4.18円/kWhまで上昇し、14年でおよそ19倍になりました。ただし2023年度には制度開始以来はじめて単価が下がっており、一貫した右肩上がりではありません。
単価は経済産業大臣が毎年度決定し、5月検針分から翌年4月検針分まで適用されます。制度としての終了時期は明確に示されていませんが、FIT買取期間の満了が進む2030年代から2040年代にかけて、負担額は減少に転じていくとみられます。
電力会社を切り替えても、この費目の単価は変わりません。負担を減らせるのは使用量を減らした場合だけです。2026年度の最新単価と検針票での確認方法は再エネ賦課金とはの記事でまとめています。ほかの記事は記事一覧、当サイトの方針は運営者情報をご覧ください。