冷房の電気代を節約する設定温度は何度か 資源エネルギー庁の目安と計算例で解説
冷房の設定温度を1度変えるだけで、電気代がどれくらい変わるか気になっていませんか。結論から言うと、資源エネルギー庁は設定温度を1度上げると消費電力が目安として約13%下がるとしています。この記事では環境省が示す室温28度の目安の正しい意味、設定温度別の電気代の試算、風量設定やつけっぱなし運転との比較、我慢しすぎて熱中症になるリスクまで、数値の根拠を示しながら整理します。
環境省・資源エネルギー庁など公的機関の公表情報にあたって記事を書いています。この記事の室温の目安に関する記述は政府広報オンラインのクールビズの解説ページで2026年9月15日に確認したものです。
冷房の設定温度は何度が正解か
冷房の設定温度に法律上の正解はありませんが、環境省はクールビズの一環として、夏の冷房時に目指す室温の目安を28度としています。これは冷房の設定温度そのものを指定したものではなく、室温の目安である点に注意が必要です。断熱性能や外気温によって、設定温度を28度にしても室温が下がりきらないことがあります。
28度は室温の目安であって設定温度の指定ではない
環境省のクールビズは、事務所衛生基準規則が空気調和設備のある職場で室温を17度以上28度以下に保つよう努めることを求めている点を背景にしています。家庭の冷房にこの数値がそのまま義務として当てはまるわけではありませんが、省エネの目安として広く紹介されています。設定温度を28度にしても、日射や気密性の低さで室温が下がりきらないことがあります。
28度が体感に合わないなら無理に合わせなくてよい
環境省自身も、28度は無理のない範囲で冷やしすぎない室温管理をお願いするための目安であり、必ず28度でなければならないという意味ではないと説明しています。暑さの感じ方には個人差が大きく、高齢者や乳幼児は特に注意が必要です。電気代の節約より優先すべき場面があることは、後の章で詳しく触れます。
- 環境省の28度は夏の冷房時に目指す室温の目安
- エアコンの設定温度そのものを義務づけたものではない
- 事務所衛生基準規則は職場の室温を17度以上28度以下に努める規定
- 断熱性能や外気温によって設定温度と実際の室温はずれる
- 体感に合わないときは無理に28度に固定しなくてよい
「設定温度」と「室温」は別物です。設定温度を28度にしても、部屋の条件によっては暑く感じることがあります。リモコンの表示だけで判断せず、体感も参考にしてください。
設定温度を1度上げると電気代はどれくらい下がるか
資源エネルギー庁は、冷房の設定温度を1度上げると消費電力が目安として約13%(目安70ワット相当)下がるとしています。ここでは消費電力600ワットのエアコンを1日8時間使うという前提を置き、単価を1kWhあたり31円(全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価)として、設定温度ごとの電気代を実際に計算してみます。
資源エネルギー庁が示す1度あたりの目安
資源エネルギー庁の省エネ広報では、冷房の設定温度を1度高くすることで消費電力がおよそ13%削減されるという目安が示されています。この数値はエアコンの機種や部屋の条件によって変わる目安であり、すべての住宅で同じ削減率になるとは限りません。あくまで温度設定を見直す際の参考値として使うのが適切です。
26度から30度まで実際に計算した試算表
前提条件を消費電力600ワット、使用時間1日8時間、単価31円/kWhとし、26度を基準に1度上げるごとに消費電力が13%ずつ下がると仮定して計算すると、次の表のようになります。実際の消費電力はエアコンの機種や外気温で変わるため、あくまで目安として参考にしてください。
| 設定温度 | 1日あたりの目安電気代 | 1か月あたりの目安電気代 |
|---|---|---|
| 26度 | 約149円 | 約4470円 |
| 27度 | 約129円 | 約3870円 |
| 28度 | 約113円 | 約3390円 |
| 29度 | 約98円 | 約2940円 |
| 30度 | 約85円 | 約2550円 |
26度から28度に上げるだけで、この試算では1か月あたり約1080円の差になります。無理のない範囲で1〜2度上げてみることから始めるのが現実的です。
この試算はあくまで一定の前提を置いた目安です。実際の電気代は使用しているエアコンの性能や部屋の断熱性、外気温によって変わります。差の大きさをつかむ参考として使ってください。
節約で下がるのは電力量料金 賦課金の単価は変わらない
冷房の使用量を減らすと、使用量に応じてかかる電力量料金と、同じく使用量に比例する再生可能エネルギー発電促進賦課金の請求額はどちらも下がります。ただし賦課金の単価そのものは経済産業大臣が毎年度全国一律で決めるもので、電力会社を切り替えても単価は変わりません。混同しないよう整理しておきましょう。
- 電力量料金は使用量を減らせば単価はそのままでも請求額が下がる
- 再エネ賦課金も使用量に比例するため使用量を減らせば請求額は下がる
- 賦課金の単価自体は全国一律で電力会社を替えても変わらない
冷房の電気代の平均はいくらか
総務省の家計調査は世帯の電気代を公表していますが、冷房・エアコンだけの内訳までは示していません。そのため「冷房だけの全国平均電気代」という公式な統計値は存在しません。ここでは世帯全体の電気代の目安と、冷房分だけを自分で見積もる計算方法の両方を紹介するので、平均値をうのみにせず自宅の実態に近い金額をつかんでください。
世帯全体の電気代の目安(冷房以外を含む)
電力会社各社が家計調査などをもとにまとめている世帯人数別の電気代の目安は、単身世帯でおよそ7000円台、2人世帯で1万2000円前後、3〜4人世帯で1万4000円前後とされています。これは冷暖房・給湯・照明などすべてを含めた1か月あたりの電気代全体の目安であり、冷房だけの金額ではない点に注意してください。
| 世帯構成 | 電気代全体の目安(1か月) |
|---|---|
| 単身世帯 | 7000円台 |
| 2人世帯 | 1万2000円前後 |
| 3〜4人世帯 | 1万4000円前後 |
| 5人以上世帯 | 1万5000円台以上 |
冷房分だけを知りたいときの計算方法
冷房だけの電気代を知りたい場合は、エアコンの取扱説明書やカタログに記載されている消費電力と、実際に使った時間を掛け合わせて計算するのが確実です。「消費電力(kW)×使用時間(h)×電力量料金単価(円/kWh)」の式に当てはめれば、平均値に頼らず自宅の数字で見積もれます。
- 総務省の家計調査は電気代を家電別に公表していない
- 世帯人数別の目安は冷房以外を含む電気代全体の数字
- 冷房だけの電気代は消費電力と使用時間から自分で計算する
- 消費電力はエアコンの型番のカタログ値で確認できる
- 単価は契約中の電力会社の料金明細で確認するのが最も正確
検針票やマイページで確認できる使用量(kWh)と契約中の単価を掛け合わせれば、平均値より正確な自宅の冷房分の目安を概算できます。
設定温度以外で電気代を下げる方法
設定温度を上げる以外にも、電気代を抑える工夫があります。風量の設定やフィルターの状態、サーキュレーターとの併用によって、設定温度を大きく変えなくても消費電力を減らせる場合があります。温度を我慢したくない人ほど、まずここで紹介する具体的な方法から試してみると、無理をせずに電気代を抑えやすくなるはずです。
風量は自動運転に任せる
風量を弱に固定すると、部屋全体が設定温度に下がるまで時間がかかり、圧縮機が長く稼働し続けて消費電力がかさむことがあります。あるメーカーの実験例では、風量を自動にした場合の消費電力が、弱に固定した場合よりも約3割少なかったという結果が紹介されています。迷ったら風量は自動に設定するほうが無難です。
フィルター掃除とサーキュレーターの併用
フィルターにほこりがたまると冷却効率が落ち、エアコンがフルパワーで稼働し続けて電気代がかさみます。目安として2週間に1回程度の掃除が推奨されています。サーキュレーターを併用して冷たい空気を循環させる工夫でも、紹介されている例では冷房時に最大17%程度の節電効果が見込めるとされています。
| 方法 | 目安の効果 | ポイント |
|---|---|---|
| 風量を自動にする | 弱運転より消費電力が少ない実験例あり(約3割少ない) | 迷ったら自動を選ぶ |
| フィルター掃除 | 冷却効率の低下を防ぐ | 目安2週間に1回 |
| サーキュレーター併用 | 冷房で最大17%程度の節電例 | エアコンを背にして風を送る |
- 風量は弱に固定せず自動運転にする
- フィルターは2週間に1回を目安に掃除する
- サーキュレーターはエアコンを背にして床付近の冷気を循環させる
温度を上げるのが苦手な人でも、風量設定やフィルター掃除だけで消費電力を抑えられることがあります。設定温度を変える前に、まず風量とフィルターを見直すのもひとつの方法です。
つけっぱなしとこまめに消す、どちらが安いか
冷房は運転を開始した直後、室温を設定温度まで下げるときに最も多くの電力を使います。短時間の外出でこまめに電源を切ると、そのたびに立ち上がりの電力を使うことになり、かえって電気代が高くなることがあります。外出時間の長さで使い分けるのが基本的な考え方で、目安を知っておけば毎回迷わずに判断できるようになります。
短時間の外出はつけっぱなしが有利
30分から1時間程度の短い外出であれば、電源を切らずに運転を続けたほうが、再び冷やし直す立ち上がりの電力を使わずに済む分、電気代を抑えやすいとされています。室温の上昇を抑えられるので、帰宅後すぐに快適な室温に戻れる利点もあります。
長時間の外出は消したほうが安い
半日から1日にわたる長時間の外出では、運転を止めたほうが消費電力の合計を抑えやすくなります。帰宅後に再び冷やし直す立ち上がりの電力はかかりますが、その間ずっと運転を続けるより電気代を抑えられる場合が多いといえます。外出時間の目安で判断してください。
| 外出時間の目安 | 電源の判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 30分〜1時間程度 | つけっぱなしが有利な場合が多い | 立ち上がりの電力を繰り返さずに済む |
| 半日〜1日程度 | 消したほうが有利な場合が多い | 運転継続の合計消費電力の方が大きくなりやすい |
| 就寝時 | 自動運転や切タイマーを活用 | 室温を保ちながら消費電力を抑えやすい |
- 冷房は運転開始直後の立ち上がりに最も電力を使う
- 短時間の外出はつけっぱなしのほうが電気代を抑えやすい
- 長時間の外出は電源を切ったほうが電気代を抑えやすい
- 迷ったら外出時間を目安に判断する
「こまめに消すほうが節約になる」というイメージが根強いですが、冷房に関しては外出時間が短いとむしろ逆効果になることがあります。外出のたびに何分くらいかを意識してみてください。
電気代を優先して冷房を我慢するリスク
電気代を抑えたい気持ちから冷房の使用を控えすぎると、熱中症のリスクが高まります。熱中症で救急搬送されたり治療を受けたりすると、電気代の節約分を上回る医療費や時間的な負担が発生することがあります。節約と健康は天秤にかけるものではなく、両立を目指す考え方が重要だという点を、ここでは具体的に整理しておきます。
高齢者や乳幼児は特に注意が必要
高齢者や乳幼児は体温調節の機能が十分でなく、暑さやのどの渇きを感じにくい場合があります。室温や湿度の変化に気づきにくいことがあるため、同居する家族が室温計などで客観的に確認し、我慢させすぎないようにすることが大切です。
室温が高いと感じたら設定温度にこだわらない
28度という目安にこだわりすぎて、室温が実際には28度を大きく上回っている状態を放置するのは本末転倒です。室温計で実際の室温を確認し、暑いと感じたら遠慮なく設定温度を下げるか、風量や除湿運転を調整してください。節約は無理のない範囲で行うものです。
熱中症は重症化すると命に関わります。電気代の節約よりも安全を優先し、暑いと感じたら早めに設定温度を下げるか冷房を使ってください。
- 電気代の節約より熱中症の予防を優先する
- 高齢者や乳幼児は特に注意して見守る
- 室温計で実際の室温を確認する習慣をつける
- 暑いと感じたら遠慮なく設定温度を調整する
よくある質問
冷房の設定温度と電気代について、検索でよく調べられている疑問をまとめます。数値は各社の解説記事や公的機関の公表情報をもとにした目安で、実際の効果は住宅の条件やエアコンの機種によって変わります。以下は2026年9月15日時点で確認した内容にもとづく回答なので、迷ったときの判断材料として役立ててください。
冷房は何度に設定すれば一番電気代が安くなりますか
電気代だけを考えるなら設定温度を上げるほど消費電力は下がりますが、体調を崩しては本末転倒です。環境省は夏の室温の目安を28度としていますが、これは無理のない範囲での目安であり、必ず28度にしなければならないわけではありません。暑いと感じる場合は遠慮なく温度を下げ、風量を自動にする、フィルターを掃除するといった温度以外の工夫と組み合わせて、無理のない範囲で電気代を抑えるのが現実的です。
冷房のつけっぱなしは電気代が高くなりますか
外出時間の長さによります。冷房は運転開始直後に最も電力を使うため、30分から1時間程度の短い外出であれば、こまめに電源を切るよりつけっぱなしのほうが電気代を抑えやすい場合が多いといえます。一方、半日から1日にわたる長時間の外出では、電源を切ったほうが合計の消費電力を抑えやすくなります。自宅の外出パターンに合わせて判断してください。
冷房の設定温度を下げすぎるとどうなりますか
設定温度を必要以上に下げると、消費電力が増えて電気代が高くなるだけでなく、外気との温度差が大きくなりすぎて体に負担がかかることがあります。屋外との温度差はおおむね5度程度までにとどめるのが目安とされています。冷えすぎを感じたら、設定温度を1〜2度上げるか、風量を調整して対応してください。
再エネ賦課金は冷房を控えれば安くなりますか
冷房の使用量を減らせば、使用量に比例する再エネ賦課金の請求額そのものは下がります。ただし賦課金の単価は経済産業大臣が毎年度全国一律で決めるもので、電力会社を切り替えても単価自体は変わりません。「新電力に変えれば賦課金が安くなる」というのは誤りで、安くなるのは使用量を減らした場合の請求額である点を区別してください。
まとめ
冷房の設定温度に絶対的な正解はありませんが、資源エネルギー庁は設定温度を1度上げると消費電力が目安として約13%下がるとしています。環境省が示す28度はあくまで室温の目安であり、無理に合わせる必要はありません。設定温度に迷ったら、まず風量を自動にする、フィルターを掃除するといった温度以外の工夫から試してみてください。
つけっぱなしとこまめに消すのどちらが得かは外出時間で決まり、短時間ならつけっぱなし、長時間なら消すのが目安です。節約を優先して我慢しすぎると熱中症のリスクが高まるため、暑いと感じたら遠慮なく温度を調整してください。再エネ賦課金のように電力会社を替えても単価が変わらない費目もあるので、節約の効果がどこに出るのかを区別して考えることが大切です。
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